本投稿ではTRISA Testnetに関してご紹介させていただきます。
TRISA Testnetへの参加に際しては2つの方法があり、それぞれの概要は以下の通りです。
- 自ら直接参加
- TRISAのページより自ら申込書を提出して参加する方法です。TRISAと直接調整を行ないつつ、全ての作業を自身で進める必要があります。
- ソリューションプロバイダー経由で参加
- ソリューションプロバイダーが提供するサービスまたは製品経由で参加する方法です。ほとんどの作業をソリューションプロバイダーが代わりに実施するため、比較的スムーズに進めることができます。また、お客様側で発生する一部作業に関してもソリューションプロバイダーがサポートします。
なお、以降では1点目「自ら直接参加」の方法についてご紹介します。また、本投稿の最後の方で2点目「ソリューションプロバイダー経由で参加」に関しても簡単に記載しています。
TRISA Testnetとは
先ず、TRISA(Travel Rule Information Sharing Alliance)では、トラベルルール対応を実現するためにVASP(暗号資産事業者)間で機密情報を安全に授受できるようにする相互運用性と通信のフレームワークをオープンソースとして提供しています。TRISA TestnetとはVASP間でのメッセージのやり取りをTRISAネットワーク上で検証するために用意されたテスト用の環境のことを指しています。
TRISA Testnetは以下のもので構成されています。また、詳細に関してはこちらのページよりご確認ください。
- 送り元VASPが個人情報(PII)を共有する際、送り先VASPを検証できるようにするVASPディレクトリ
- VASP間の安全なメッセージングを可能にするためのオープンソースフレームワーク
- メッセージの授受をVASP間で検証するために用意されたロボットVASP(メッセージの送受信処理が自動化された検証用VASP)
TRISA Testnetへの登録
TRISA Testnetを利用するためには事前に登録が必要となります。なお、登録申請が可能なのはVASPのみとなります。
TRISAへの登録申請は以下より実施することができます。
上記で必要事項をご記入いただき、申請していただくとTRISA側での審査が実施されます。審査が通りますとTRISAより証明書が発行され、登録が完了します。なお、本プロセスにおいてはTRISA側と直接調整する必要があり、その際は英語での対応が求められます。以下が一連の流れのイメージとなります。
TRISA対応ノードの構築
登録が完了いたしましたら、TRISA Testnet上でメッセージの授受を検証するために、TRISAが提供するオープンソースを元にノード(サーバー)を構築します。TRISAから発行された証明書を活用したクライアント・サーバーコンポーネントを同一のノード上に作成する必要があります。
- クライアントコンポーネントの作成
- 送付先VASPへメッセージを送信するための機能やTRISAディレクトリサービスへ送付先VASPの情報をルックアップするための機能などを実装。
- サーバーコンポーネントの作成
- 送付元VASPからのメッセージに対して自身側の情報を埋めた上で返信する機能を実装。
上記が完了しましたら、TRISA Testnet上でメッセージの授受を検証可能となります。
ソリューションプロバイダー経由の場合
CipherTrace社はTRISAソリューションプロバイダーとしてCipherTrace Travelerを提供しております。CipherTrace Travelerをご活用いただければ、CipherTrace社よりTRISAネットワーク上で必要となるノードを構築して提供させていただくため、自身で一から実装する必要はなくなり、開発負荷が削減されます。また、TRISAへの登録申請におきましても弊社が日本語でCipherTrace社やTRISAとの調整をサポートさせていただきます。
※ CipherTraceの全てのサービスは2024年3月をもって提供を終了いたしました。
TRISAに関する詳細は以下よりご確認ください。
TRISA公式サイト(英語)
・https://trisa.io/
TRISAにより提供されているオープンソースは以下よりご確認ください。
Github
・https://github.com/trisacrypto